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■プラぷら
【Event】
・オラザクに挑戦! New!
・第一回 看板娘
【Novel】
・第一話 第十二節 New!
・第一話 第十一節
・第一話 第十節
・第一話 第九節
・第一話 第八節
・第一話 第七節
・第一話 第六節
・第一話 第五節
・第一話 第四節
・第一話 第三節
・第一話 第二節
・第一話 第一節
【Other】

 

NAL Factory
■「剣を召しませ」
 ニコニコ動画のコミュニティ「プラぷら」のマスコットガールを主人公にした物語がここに始まる。

 強敵レスターとの死闘を続けるプララとダニー。
 脱出の策を講じ、その中でレスターに大きな傷を負わせることにも成功した二人であったが、それでもなお二人の前を阻むレスターであった。
 更にダニーの右肩脱臼という手痛い代償を払い絶体絶命の中、ダニーはまだ「策はある」と叫ぶ。
 二人の死闘ついに終焉。
■第一話 第十一節
 「策が?」
 ダニーの背後からプララは見上げるようにして言った。
 出口をレスターに阻まれ、ダニーは右腕を脱臼、まだ充分な戦力を残していた自分がここは活路を開くしかないと考えていただけに、プララには意外な言葉に聞こえた。
 「さっき、野郎の足を滑り込みながら切りつけたよな?あれをもう一度やって欲しい」
 ダニーがレスターから目を離さずに言った。先ほどダニーへ彼の斧を蹴り渡した際に、彼が斧を拾い上げる為の援護として行ったレスターの足への攻撃のことを指しているらしかった。しかしレスターの下半身は恐ろしく硬く、とても有効な攻撃であるとはプララには思えなかった。
 「しかしあれでは傷をつけることすら……」
 「分かってる。でも、攻撃も受けなかっただろ?硬い鎧に守られたところは安心しているもんだ。見てみろ。厄介なあのベルトは上半身にしかない」
 プララは黙ってダニーの話を聞いていた。とにかく時間がない。レスターは今にも襲って来るのではないかという程怒り狂っているように見えた。
 「怖いだろうが、野郎の足元へ滑り込め。俺は野郎の頭へもう一度こいつをブン投げる」
 ダニーが大斧を掲げて見せた。
 「あなたはどうするの?」
 「滑り込んで向こうへ抜けたら、野郎の背中を切れ。その隙に俺も抜ける」
 「でも」
 「揉めてる時間はない!」
 ダニーがプララを制した。
 確かにダニーの言う通り時間はない。それに自分が仮にレスターと戦闘を演じたところで、出口の前で戦っていてはダニーが通り抜ける隙間も与えられない。むしろ、滑り込んで相手の背後まで突き進み、その援護として斧を投げ込んで貰う方が遥かに確実性が高く、ダニーの逃走経路の確保もし易かった。
 「分かった。私が半分まで間を詰めたら、斧を投げて」
 素直に指示に従うことに決めたプララはぴゅんと剣を一度振り、足をぐいと地面に捻るように押し付けると、低く身を沈めた。
 「行くよ」
 一つ深呼吸をするとプララは全力で地面を蹴った。
 最初の一蹴りに全力を出せば、後は力は必要ない。むしろ力は出来るだけ抜いてしまい、軽く足を運び出す。前方へ投げ出した足が地面に触れたらすぐにそれを引き付ける。静かに、素早く、軽やかに。
 五歩目を過ぎたところでゴウッという音が背後から頭上を掠めて行った。ダニーの斧だ。「良いタイミングで投げる」六歩目の足を引き付けたところでプララはそう思った。
 七歩目、レスターの足元に滑り込む照準を定めた。
 八歩目、滑り込むために足を地面に接地させるのではなく、前方へと投げ出す。
 九歩目の蹴り出し足が地面から離れた瞬間、目の前からレスターが消えた。
 予定通りの滑り込みをしながら、プララは天井を見上げた。そこに自分の背後へと飛ぶ黒い影が一瞬だけ見えた。
 「ダニーッ!!」我を忘れてプララは叫んだ。
 滑り続ける自分の身体を止めようと必死にもがきながら、影の飛んだ方向へと向き直る。
 目に映ったのは、丁度脱臼した右肩辺りを皮ベルトで貫かれているダニーの姿だった。
 甘かった。自分たちが攻撃する間、レスターが動かないという保障などありはしなかったのだ。いや、つい先刻自分たち二人を飛び越して出口を塞いだばかりではないか。再び自分を飛び越え、武器を持たないダニーをレスターが狙うことに何故思いが至らなかったのか。今は悔やんでも仕方がない。ダニーを貫く皮ベルトを自分が断ち切る他にダニーを助ける方法はなかった。
 ブーツの尖ったヒールを強引に地面に打ち付けて急停止したプララは、その姿勢のまま渾身の力で駆け寄ろうとした。
 「来るなっ!」
 ダニーが叫ぶ。
 更に二本の皮ベルトがダニーの左腹部と、左太ももを貫いた。
 ゴボリとダニーの口から血が溢れ出た。
 ダニーは左手で己の左腹部を貫いた皮ベルトを握ると、それを引き抜き、ぐるぐると自分の腕に絡め取った。
 「逃げろ……」
 「そんな」
 そんなこと出来る訳がない。そう思った。
 「長くは持たん!逃げろっ!」
 再びダニーが叫んだ時、ひゅんとレスターの皮ベルトが一閃した。
 次の瞬間、ダニーの身体が膝からガクリと崩れ、首が落下し床を転がった。
 「ダニー……」
 プララの手が剣を強く握り締めた。自分の鼓動に合わせてこめかみの辺りに強い圧力がかかるのを感じた。
 レスターがゆっくりと振り返る。
 プララの剣先が僅かに跳ね上がる。不思議と恐怖は感じない。
 レスターがゆっくりとプララに一歩歩み寄る。また剣先が僅かに反応する。
 斬る。どこでも良い、とにかく真っ二つに奴を斬る。プララの脳裏にはそれしかなかった。
 更に一歩レスターが間合いを詰めようとした時、ダニーの身体が音を立てて動いた。
 ダニーの左腕に絡められた皮ベルトがそのままの状態にあった。レスターはそれを外そうと皮ベルトを大きく動かす。しかしダニーの腕が上下に動くだけで一向に外れる気配はなかった。
 プララははっと我に返った。
 皮ベルトを放すまいとするかのように、しっかりと巻きつけられた腕が大きく波打つ。その姿をしばらく見つめた後、プララはぎゅっと唇を噛み締め、すっと頭を下げて一礼すると、踵を返して回廊を走った。
 命を張って退路を確保してくれたダニーの意思を無駄にしてはいけない。死してなおレスターを離さないダニーの姿を無駄にしてはいけない。長い長い回廊を全速力で走り抜けながら、何度も何度も自分に言い聞かせた。

 カンカンとヒールの音が辺りに響いた。
 途中、ポイズンビーから受けた傷を癒すためにダニーが座った場所があった。
 片足を投げ出して座り込むダニーの姿が見えたような気がした。『ああ。俺に判を押させるのか?って睨んでたっけなぁ』クスクス笑うダニーの笑顔が思い出された。
 彼の笑顔を振り払うかのように大きく頭を振って視線を正面に戻すと、どこから現れたのか一匹のポイズンビーが姿を見せた。
 「邪魔だ、どけ!」
 プララは一刀の下に両断し、そのまま走り抜けた。
 回廊の終着地、第三階層へと繋がるハシゴを駆け上がり、ダニーと共に進んできた第三階層の道をひたすら走り抜けた。
 そこら中にダニーが切り飛ばした魔物の首が転がっていた。
 魔物の首をはねて止めを刺すのが彼のスタイルだった。大斧を振り回し器用な物だと、一緒に戦いながらプララは感心していた。
 割れて用を成さなくなった壁の照明用魔石を放り投げ、手持ちの品と交換したダニーの魔石が辺りを照らしていた。
 『しょうがねぇなぁ』そう言いながらも笑いながら魔石を交換する彼の姿が脳裏に映った。
 『放って置けば?』というプララの言葉には何も答えず、せっせと交換するダニー。『彼の送り出した傭兵を少しでも手助けしようと?』傭兵局管理官との思い出話を聞いて問いかけたのも、彼のそういう姿を見ていたからであった。
 自分の事を語る言葉を持たない男であった。
 しかし、かけがえのない男であったのだとプララは確信していた。そしてその男を自分が死なせてしまったのだ。プララはそう考えていた。
 坑道跡の中を全力で走り抜ける自分の足音が、そこら中に響き渡っていた。
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 挿絵は主人公プララをデザインされたぷるぷるさんによる物です。
 こちらのコミュニティにて、お絵かきの模様を生放送されています。

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