Profile Gallery Technique Plapla Blog Mail
       
■プラぷら
【Event】
・オラザクに挑戦! New!
・第一回 看板娘
【Novel】
・第一話 第十二節 New!
・第一話 第十一節
・第一話 第十節
・第一話 第九節
・第一話 第八節
・第一話 第七節
・第一話 第六節
・第一話 第五節
・第一話 第四節
・第一話 第三節
・第一話 第二節
・第一話 第一節
【Other】

 

NAL Factory
■「剣を召しませ」
 ニコニコ動画のコミュニティ「プラぷら」のマスコットガールを主人公にした物語がここに始まる。

 第四層最深部まで足を踏み入れたプララとダニー。
 そこで待ち受けるのは傭兵クラスのアンデッド、のハズであった。
 しかし、そこにいたのはこの坑道跡で最も恐れられる魔物、レスターだった。
 「やべぇことになった……」ダニーの口から思わず言葉が漏れる。
■第一話 第九節
 まるで時がそこだけゆっくりと流れているかのような錯覚を与えるほど、レスターは緩慢な動作で立ち上がった。その動作はまるで重力すら無視するかのような不自然な物だった。
 腰をくの字に横に折り曲げ、更に上半身を反対側に捻り曲げた姿勢で立ち上がると、そのままゆらゆら揺れていた。プララはその姿を見て一瞬腕がないとのかと勘違いをした。レスターは腕がない訳ではなかった。上半身は丁度囚人が着せられる拘束着のようなものを着込み、左右の腕は身体の前で交差して後方へと回される格好になっていた。身体のあちらこちらに拘束着特有の無数の皮ベルトが見えた。
 下半身は人間の物ではない、硬く、そしてヌラヌラした表皮をしており、細くゴツゴツした印象を与えた。
 しかしレスターの最も目を引くところは頭部であった。顔全体を覆うマスクのような物をつけていたが、そのマスクの顔は見えない。なぜなら頭部を前後に槍で貫かれていたからだ。顔の中心を槍に貫かれ、マスクの顔の部分の形状はまったく判別出来なかった。
 レスターはゆらゆらと揺れたまま、動く気配を見せなかった。
 「やべぇことになった……」
 ダニーが静かに呟いた。
 「野郎は最下層にいるこの坑道跡の主みたいなモンだ。五〜六人のフルパーティで野郎を押さえ込んでおいて、その隙に僧侶が壊呪でもしないと始末出来ん……」
 「壊呪は?」
 プララが無駄な質問をした。
 「どこの世界に斧担いだ僧侶がいるんだよ」
 ダニーはレスターに視線を向けたまま答えた。
 「もっとも……、その斧もあそこに転がったままだがな」
 プララはレスターの足元に転がるダニーの大斧を見た。正にレスターの真横に大斧があり、とても拾える状況ではなかった。
 「私がヤツの気を引く、あなたはその隙に斧を拾って」
 「そんな隙があったらな……」
 プララはちらりとダニーを見た。
 「野郎のスピードはもう見たろ?加えて魔法も使いやがる。当然、頭も良い」
 「弱点は?」
 「ぶっちゃけ……、ない」
 プララはごくりと唾を飲んだ。急造パーティとは言え、ダニーとは既に数戦をこなし彼の腕は分かっていた。その男が『弱点はない』と言い切るのだから、正に強敵なのであろう。
 「引く?」
 「それも無理……。そんな甘い野郎じゃないんだよ」
 「それじゃ……」
 プララが次の質問をしようとした矢先、「避けろ!」とダニーが叫んだ。
 レスターの拘束着から、三本の皮ベルトが伸び、二人に襲い掛かってきた。一本はプララに、二本はダニーに。二人は転がるようにして何とかかわした。
 体勢を立て直した瞬間、ダニーの声が再び聞こえた。
 「止まるなっ!」
 ダニーを狙った筈のレスターの皮ベルトが、途中から向きを変えプララに迫っていた。
 プララは慌てて後転してそれを避けた。ぶら下げた剣の鞘が身体にぶつかる。レスターの皮ベルトはしつこくプララを追い、プララは二点三点と後転を続けて避けた。
 やっとの思いでレスターの攻撃を回避したプララは目でダニーの姿を追った。ダニーもどうにか回避したようで、遠く離れた位置で肩で息をしていた。
 どうやら同時に両方へ攻撃が出来るようだとプララは悟った。ダニーが厄介な相手だと言う意味がようやく分かったような気がした。どうしたものかと考えた時、ダニーがくいっとアゴで合図したのが見えた。どうやら自分の反対側へ回れと言っているようだ。強敵を相手する場合、挟み撃ちにするのは定石である。プララはダニーの指示のまま、反対側へゆっくりと回り込んだ。
 レスターは様子を窺っているのか、身体から皮ベルトを四本ほど伸ばし、それぞれをふわふわと空中に漂わせていた。それはあたかも触手のようであった。プララはいつその皮ベルトが攻めてきても対処出来るよう身構えながら、ゆっくりとダニーと正対する位置にまで辿り着いた。十回呼吸する程度の時間が異常な程に長く感じられた。
 さてどうする?ダニーは丸腰、攻撃はおろか防御すら出来ない。行動を起こすなら自分からしかない。スピードのある相手に先手を取られるのは不味い。あの皮ベルトの攻撃を自分に打ち落とすことが可能なのだろうか?プララは考えを巡らせた。
 悩んでいても仕方がない。逃げることすら叶わない相手なのなら、攻撃して活路を開く他に道はない。とにかく皮ベルトの攻撃を避けるか打ち落とし、一太刀入れる。使い手のダニーなら、その隙に斧を拾い上げることもあるだろう。プララは意を決し、剣を握り締めた。
 その瞬間、レスターの頭部を前後に貫いた槍が、ズルリと前方にずれた。咄嗟のことにプララは身構えた。
 「引っかかるな、それは単なる威嚇だ」
 ダニーのたしなめる声が聞こえた。
 「本当に厄介なのね!」
 プララが叫んだ。
 「だから言ったろ!」
 ダニーが叫び返した瞬間、プララはレスターに突進した。大声で相手の注意を逸らした瞬間を狙ったのだ。
 出来るだけ身を低くし、剣を左へと回した姿勢で突っ込んだ。最も速く走れ、最も速く剣が振れる姿勢であった。もうダニーの姿は見ていない。ひたすらレスターの行動にのみ注意を払い、攻撃をかわしつつ一太刀入れることにのみ専念した。
 レスターがプララの行動に合わせて動いた。
 「来た!」プララは全神経をレスターに集中し、攻撃をかわそうとした。
 しかし、当のレスターはプララの予想を全く覆す行動に出た。クルリと身体を回転させたかと思うと、真っ直ぐにダニーに身体を向け、ゆらゆらと漂わせていた四本の皮ベルトの内三本をダニーに向かわせたのだ。残り一本を自分の体後方に回し、まるで後ろ向きでたった一本の触手でプララの攻撃をさばこうとしているようだった。
 「舐めるなっ!」
 プララが叫んだ。
 しかし、実のところ、叫んではみたものの、大きく予測を外されたことでプララは次の手に窮してしまった。このまま突っ込んで直接一太刀入れるか、それとも後方に回された皮ベルトを断ち切るか、無防備過ぎる相手に一瞬の戸惑いがあった。
 その隙を狙ったのか、レスターは後方に回した皮ベルトを真っ直ぐプララに突いて来た。皮一枚でそれを避ける。レスターの皮ベルトがプララの頬をかすめた。最初の攻撃で皮ベルトのスピードを見ていなければ、確実に眉間を貫かれていただろう。
 更に二歩間合いを詰め、プララは渾身のスピードで剣を左下から右上へ、袈裟切りに振り上げた。そのまま剣を相手にかざし防御したまま走り抜ける、プララ得意の一撃離脱である。
 ザクリという相手を切り裂く感触を剣に感じたまま、プララはレスターの横を走りぬけようとした。その目の前にダニーの姿があった。斧を拾い上げるべく、ダニーがこちらへと突っ込んで来ていた。
 そのダニーの後方から、二本の皮ベルトが彼に襲い掛かろうとしていた。
 不味い!プララは咄嗟にダニーを飛び越えると、その勢いのまま二本の皮ベルトに剣を振った。
 ひゅんという会心の太刀筋が空を切った。手前の一本を直接剣が切断し、奥の一本を剣が放った真空波で切り裂いた。パタパタと二本の皮ベルトが地面に落ちた。
 着地したプララの背中を、突っ込んだ際に襲ってきた皮ベルトが彼女の背後を追うように襲った。
 ダニーは慌てて斧を拾うことを諦め、その皮ベルトに飛びついた。プララを狙った皮ベルトを握り締め、そのまま転がった後、力任せに引っ張った。レスターのバランスが崩れる。
 その様子を見たプララは回り込んで、力任せに地面に落ちた斧をダニーに向かって蹴り上げた。
 ガツンという衝撃が足に響いた。
 ガラガラと音を立てながら、大斧はどうにかダニーの下にまで滑って行った。ダニーがすぐ手元にきた大斧を掴む。体勢を崩され、ダニーに再び武器を持たれたことでレスターに隙が生まれた。プララは斧を蹴った際の足の痛みも忘れ、足から滑り込むようにしながらレスターの足を切りつけた。
 カシンという乾いた感触があった。硬い。切れた実感はなかった。
 ダニーがプララの腕を掴み、ぐいと引き起こした。
 「今日新調した斧だぜ?蹴ることはないだろう」
 ダニーが言った。
 「そんなに大事な物なら首から紐つけてぶら下げてなさいよ」
 「おい!誰のために投げてやったと思ってるんだ」
 ダニーが目を丸くして言い返した。
 プララはそんなダニーの顔を見て、クスリと笑った。
 「始めて笑ったな」
 ダニーがレスターを見据えて言った。
 プララも気まずそうにレスターを見据えた。
 二人はまだ窮地から脱してはいなかった。
■ご注意
 当ホームページの画像、文章、データ等の無断使用を禁じます。

 挿絵は主人公プララをデザインされたぷるぷるさんによる物です。
 こちらのコミュニティにて、お絵かきの模様を生放送されています。

[an error occurred while processing this directive]