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■プラぷら
【Event】
・オラザクに挑戦! New!
・第一回 看板娘
【Novel】
・第一話 第十二節 New!
・第一話 第十一節
・第一話 第十節
・第一話 第九節
・第一話 第八節
・第一話 第七節
・第一話 第六節
・第一話 第五節
・第一話 第四節
・第一話 第三節
・第一話 第二節
・第一話 第一節
【Other】

 

NAL Factory
■「剣を召しませ」
 ニコニコ動画のコミュニティ「プラぷら」のマスコットガールを主人公にした物語がここに始まる。

 オーガを倒した後に残された宝箱へ手を伸ばしたプララ。
 しかしそれは宝箱へと擬態していたミミックであり、彼女らしからぬ大きなミスであった。
 急襲するミミックを辛うじてかわしはしたものの、彼女の窮地は一向に好転しない。
 ミミックの巧妙な追撃に、プララは更なる窮地へと追い込まれる。
■第一話 第六節
 襲い掛かるミミックの第一撃をかわせたのはほとんどマグレだった。
 ミミックは宝箱が本来の姿というわけではない。植物に似せた姿をした昆虫のように、自身の姿を他の者に似せて相手を欺くいわゆる擬態であるが、昆虫のような生まれつき似た姿をしているというものではなく、様々な色に変化するカメレオンのように、自由に何者にでも姿を変化させることが可能であり、ミミック本来の姿がどういうものなのか知る者はいない。なぜなら、ミミックを倒しても元の姿に戻るわけではなく、擬態の姿のまま死亡するからである。ひょっとするとミミック自身も本来の姿を知らないのかもしれない。
 このミミックが厄介なのは、その擬態能力にある。
 あくまでも自分の身体を変化させて欺く擬態である以上、例えば金属に変化したとしてもそれと同等に硬くなるわけではない。しかし能力を特化させることは可能であった。形状を変化させることが出来るミミックは、必要に応じて体内の組織を変化させることで、身体能力を特化させることが出来るのである。脚力が必要ならば腕の筋肉を脚部に回すと考えれば理解しやすいだろうか。
 今プララに襲い掛かったミミックもまた瞬時に体の下部を変化させ、爆発的な瞬発力を持って襲い掛かってきた。
 決して油断をしていた訳ではなかったが、早く宝箱の中身を確認したいという誘惑に気を取られていたのは紛れもない事実だった。
 プララは襲われた瞬間、反射的に身体を後方へと逃がした。しかし深く腰を下ろした体勢であったことが幸運であった。
 上下にひっくり返した格好で背中に剣を装備しているプララは、深く腰を下ろした時、その剣の柄の部分が地面に触れてしまう。その体勢で後方へ飛び退いた際に、その柄の先が地面に引っかかってしまった。がりっという音がした瞬間、下方にある柄の先が地面に引っかかった反動で、上方の鞘の先がプララの後方へと引かれ、鞘の先から繋がれた皮ベルトが首を後方へと引く形となり、バランスを崩したプララはそのまましりもちをつくように転倒してしまった。
 その刹那鼻先をミミックがかすめ飛んだ。あのまま真っ直ぐ後方へ飛び退いていたら、瞬発力に特化させていたミミックの餌食となっていただろう。
 仰向けに倒れたプララは即座に身を転がし起こして身構えた。しかしミミックがいない。プララはぞっとした。戦闘中、相手を見失うことは限りなく死に近いことを意味した。
 カランと右から音が聞こえた。
 「そっちか!」プララは音のする方へと身体をひねった。
 ガツン!と大きな衝撃が後頭部を襲った。プララの目が眩む。
 恐らく小石でも投げたのであろう、右からの音はトラップであり、ミミックはプララの左から襲ってきたのだった。
 ここでもプララにとっては幸運が、そしてミミックにとっては不運があった。背後からガブリと丸かじりしてやろうと狙ったミミックであったが、プララの背中の剣が丁度盾の役目を果たす形となり、大きく開けた口は剣に遮られてしまった。
 ミミックに対して盾となってくれた剣であったが、その衝撃をまともに後頭部で受け止める形となったプララもたまったものではなかった。一瞬にして視界が暗転、失神が彼女を支配しようとする。ギリリと歯を食いしばり辛うじて意識を繋ぎ止めることには成功したが、意識と身体の自由をほぼ奪われた状態にあった。
 回避、確認、首の皮ベルトの解除、防御、抜刀、さまざまな思考が頭を駆け巡り、ただ駆け巡るだけで整理が付かない。身体も動いていない。いや、第一すぐに動くのか、身体状況の把握すら出来ていなかった。
 「ガァッ!」一度ならず二度までも絶好のチャンスを逃したミミックは苛つきを吐き出した。
 ミミックは擬態能力を持った魔物というだけでなく、その擬態能力を使いこなすだけの高い知能も持ち合わせていた。何に化ければ相手が油断をするのか、油断した相手を確実に仕留める方法はどういう物なのか、擬態を使うには高い知能が必要であった。その高い知能を持ち合わせた自分が二度もチャンスを逃し、それも単なる相手の運だけであったことが、ミミックのプライドを傷つけ、大いに苛つかせた。
 このミミックのプライドの高さもまたミミックにとって不運へと働く。素直に第三撃へと行動していれば、思考と身体の自由を奪われた今のプララを容易く食らうことが出来たであろう。しかし、プライドを傷つけられたミミックは苛立ちに負け、吼えてしまった。
 背後から聞こえたミミックの怒声に、プララは我に返った。
 「何をしている!」自分自身を叱責しながらプララは身を翻して身構えた。頭がクラリと揺れる。
 思考のコントロールを取り戻すことには成功したものの、身体の自由はまだ取り戻せていない。不味いことになったとプララは思った。
 ミミックは油断のならない相手であることをプララは充分に承知していた。先のオーガのような、ただ腕力に頼った力任せの攻撃をしてくるだけの鈍重な相手はまったく苦にしない。しかし、ミミックが相手ではそうは行かない。そこそこに知能が高いことも然ることながら、擬態によって能力を高めてくるミミックは、どの傭兵であっても嫌な相手とされていた。スピードも力も同時ではないにせよ、見事に使い分けてくる。そしてもう一つ、こいつは呆れるほどタフなのだ。ミミックの相手を得意とする傭兵はいないのだが、それはパーティーであっても同じである。体組織を変化させるミミックは、擬態能力を実現するだけでなく、打撃や斬撃を飲み込む柔軟性を発揮し、高い修復能力も併せ持つ。例え複数によるタコ殴りを実現出来たとして、絶命させるには相当な時間が必要なのだ。
 それだけ厄介なミミックだけに餌食となる傭兵は多い。それはミミックが強敵であることと同時に、ミミックの溜め込む宝物も膨大であることを意味し、その宝物を充て込んだ傭兵が後を絶たないのである。
 暫くの間、プララとミミックのにらみ合いの時間が流れた。
 身体の自由が利かないプララ、運とは言え二度も攻撃をかわした相手と対峙しているミミック、どちらも慎重になっていた。
 プララは相手に気付かれないよう、右手の指、足先、太もも、身体のあちらこちらの筋肉を微妙に動かして身体の回復状況を計っていた。目の前のミミックは確実に瞬発力重視に身体を変化させている。体調が万全な状態であっても侮れないミミックのスピードである。この自由を失った身体ではあまりにも分が悪かった。
 ともかく武器を手にしていない今の状況は不味い。そう思ったプララは剣を抜くために、首の皮ベルトへと手を伸ばした。
 その瞬間、ミミックは口から鋭い槍状にした舌をプララの首元、いや首元にやった右手を狙って突いてきた。
 咄嗟にプララがかわす。
 「こいつ……」
 もう一度、ゆっくりと首の皮ベルトに手を伸ばすと、再び同じように槍の舌を突いてきた。
 「そう、剣は抜かせないってわけね」
 ギギギ。人の言葉を理解したかのように、ミミックは笑ったような声を上げた。
 槍の舌の届く距離、こちらの武器を把握している相手、自由を奪われた体、プララに不利な条件が揃っていた。先ほどの苛つきを解消しようとしているのか、ミミックはその状況を楽しんでいるように見えた。
 「あなた、意地が悪いね」しばらく、と言ってもほんの数秒程度であろうが、にらみ合いの状態が続いた後、プララが言葉を発した。
 「私が身体の自由を奪われていると知っているわけね。その上で私の武器を封じておいて楽しもうってことでしょ?」
 ミミックがギギギと再び笑うような声を上げた。
 「そうやって何人もの人間を食ってきたんでしょうね。今日は久しぶりに女の肉が食えると喜んでいるのかしら?」
 プララはすっと親指を立てて背中の剣を指差した。
 「でも、私の武器がこの剣だけだと思う?」
 ミミックは明らかにプララの親指に反応し、ギギと声を出した。
 「斧でも食らいなさいっ!」
 その瞬間、ガバン!という大きな音と共に、背後から振り払われた巨大な斧がミミックの身体の真横に食い込んだ。その勢いのままミミックは遥か向こうの広間の壁まで飛ばされた。
 「よう、大丈夫かい?手を出して良かったんだよな?」
 ミミックをなぎ払った斧を肩に担ぎ直した先ほどの男が笑って立っていた。
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