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■プラぷら
【Event】
・オラザクに挑戦! New!
・第一回 看板娘
【Novel】
・第一話 第十二節 New!
・第一話 第十一節
・第一話 第十節
・第一話 第九節
・第一話 第八節
・第一話 第七節
・第一話 第六節
・第一話 第五節
・第一話 第四節
・第一話 第三節
・第一話 第二節
・第一話 第一節
【Other】

 

NAL Factory
■「剣を召しませ」
 ニコニコ動画のコミュニティ「プラぷら」のマスコットガールを主人公にした物語がここに始まる。

 酒保の主の話に聞いた坑道跡へと足を向けるプララ。
 実際に目にしたその坑道跡は、予想に反し静まり返った不気味さを携えていた。
 迷うことなく内部へと侵入していくプララの戦闘が今始まる。
■第一話 第四節
 しんと静まり返った坑道の中をプララはスタスタと歩いていた。
 決して不注意なのではない。世界を蝕む瘴気は一所に固まり留まるガスのように濃度があり、一定ではない。濃度の低い外周部から中心に向かうにつれその濃度を濃くしていく。最も濃度の高い中心部から遠くまで瘴気が分布している所は濃度上昇率も緩やかであり、逆に遠くまで分布していない場所は急激に上昇カーブを上げることになる。グラナラードから坑道跡までの道程の中、プララは自分に襲い掛かってきた獣からその上昇カーブを見極め、まだ危険はないと判断していた。この判断が未熟な経験の浅い傭兵は己の力量を遥かに超えた獣や魔物を相手することになり、あえなくその一生を終えることとなる。
 しかし油断はしていない。この坑道跡のような閉塞された空間の場合、急速に瘴気濃度を高めることがある。極端な場合、並の慣れた傭兵ならば楽に倒せるコボルド程度の出現場所から、角を曲がった途端にアンデッドクラスが現れることもある。
 アンデッドクラスとは文字通り「死にぞこない」である。瘴気は生物に影響を与え、自我を失い本能すら捻じ曲げられ凶暴な獣と化すのだが、その影響は生物に限定された話ではなかった。人間や獣の死体といった命なき者でさえもその影響から逃れる術はなく、命ある者に襲い掛かる。元が下等な生物のアンデッドであっても油断は出来ない。元々が命のない者であるため『絶命』させることが不可能であり、その活動を停止させるには身体その物を破壊してしまうか、最低でも四肢を切断あるいは破壊して行動不能とするしかない。僧侶によってその魂を天に還してやることも可能ではあるが、これはある程度の修行を積んだ中位レベル以上の僧侶でなければ出来ないのである。元となる生物が高等になればなるほど呪解は困難となるし戦闘能力も高くなり傭兵を大いに苦しめるのだが、それが故にアンデッドの全容は未だに掴めていない。
 ともかく、角を曲がった途端に人間のアンデッドと出くわしたなら、相当な手練でもない限り単身では相当な危険を伴った。
 暫く坑道跡の中を進むとトンネルを塞ぐように大きな鉄の扉に突き当たった。なるほどとプララは納得した。瘴気を封じ込めておくためにこういった扉を各所に設けておくことはよくあることであり、そのせいで中の声も聞こえて来なかったのだ。扉の向こうの気配を探ると、確かに中で誰かが戦っている物音が聞こえた。プララはそっと扉を引き開いた。
 ガンという金属を叩く高い音が聞こえた。
 扉の向こうは小さな広間のようになっており、その中央付近で三体のコボルドに囲まれながら大きな斧を振る一人の傭兵の姿があった。
 コボルド、その体躯は暗いグリーン色の皮膚を持ち、平均的な人間の半分程度の身長で痩せた体格をしており、皮の腰巻を一枚巻きつけているだけであった。細くピンと尖った耳をしていることから「元はエルフである」などエルフと混同する説を唱える者もいたが、まったくエルフとは違う種族である。コボルドは妖精の一種であり、大地の精に属する。古くから鉱石や金属を加工する技術を持ち、コボルドが人間に加工技術をもたらしたと伝承している地域もあった。無論、異界の住人であるのだが、ドミールの瘴気が世界を侵食し始めると同時に、それら魔物や妖精もこの世界に姿を現すようになった。好意的だった者が凶暴な姿となり、凶暴であった者はより凶暴な存在となって。
 足元にはその傭兵が倒したのであろう、頭を失くし絶命したコボルドが一体転がっていた。その様子から手出しは無用とプララは判断した。傭兵が魔物を倒し報酬を得ることを生業としている以上、迂闊に手出しをすることは揉め事の元となることも多い。相手もプロであるから、手助けが欲しい時は求めてくる。
 プララの姿に気付いたその男はちらりと視線をこちらに向けると、ニコリと笑った。
 「楽しそうね」人の良さそうな笑顔を見せた男に、プララは声をかけた。
 「この斧を新調したところでね、試し切りさ」男はそう言うと、コボルドの振り下ろす金属製の棍棒を斧で受けながら、器用に足元に転がるコボルドの頭のない死体をコツンと蹴り、「ほら、綺麗な切り口だろ?」とまた笑顔を向けた。
 プララは男に小さな笑顔を向け、横を通り過ぎた。
 「その先にオークがいる。大した物は持っちゃいないが、それほど多くも群れていない」
 背後から投げかけられた男の言葉に後ろ手を上げて答えながら、奥へと進んだ。
 大きな岩があちらこちらに転がっている辺りに目を向けると、ゴソゴソと人間と同等の身長をした人影がいくつかあった。
 首輪に手をやり、パチンと剣をつなぎ止めるベルトを外した。
 その音に反応したのか、岩の陰から二体のオークが飛び掛かって来た。
 グレーともグリーンとも形容出来る色をした体は引き締まった筋肉を備え、その上に少々の脂肪を蓄えていた。真偽の程は定かではないが、オークは元々人間であると言われ、瘴気の影響かはたまた悪意ある魔道師による魔術によるものか、その人間性を失い、このような魔物へと成り果てたと人々に語られている。まさにプララに襲い掛かろうとするオークの形相はともかく、その顔の造形は大きく崩れ、目は細く、鼻は朽ち落ちたかのように崩れて上を向き、イノシシに似ているが、確かに元は人間であったと思わせる形状を保っていた。
 オークには多少の知能があり、複数の徒党を組んで傭兵に襲い掛かることが多かった。しかも単に数にたのむのではなく、簡単な連携や作戦を組むこともあった。今プララに襲いかかろうとしているオークもそのタイプであり、飛び掛かりながら「いける」と判断していた。
 先頭のオークが相手の頭上から飛び掛かる。狡猾なのは後ろのオークであり、飛び掛かるように見せかけただけで、身体を低くかがめ、手にした槍を相手に突きつけ突進していた。
 先頭のオークは自分の槍が相手を貫くも良し、仮に攻撃を受け止められたところで第二陣が下から槍を突き上げれば容易にケリがつくと考えていた。見たところ単身の傭兵、他に注意を払う必要はなく、相手の手を止めてしまえば自分の役割は果たせる。事実、この方法で何人もの傭兵を食ってきたのだ。
 命を奪うことよりも命中させることを優先し、先頭のオークは相手の頭ではなく胸に狙いをつけていた。「当たる」と確信した瞬間、オークは事態を把握出来なくなった。目の前で人間が一人消えたのである。
 オークが槍を突き出し頭上から襲い掛かる瞬間、プララは足元にしゃがみ込んだ。
 身体能力に物を言わせて高く飛び上がり襲い掛かったオークは一直線にプララに向かっており、視野が狭くなっていたことも手伝い、眼前で急にしゃがみ込んだプララを見失ってしまった。まさに消えたと誤解しても仕方がなかった。
 空を突く形となったオークは勢い余って着地から数歩身体を前に投げ出してようやく踏み止まった時、背後でグチャリという湿った音を聞いた。
 オークが着地する寸前にしゃがみ込んだプララは、両の足の間にある剣の柄を握ると一気に前方、第二陣としてプララに突進してくるオークへと突っ込んだ。
 虚を突かれたオークの槍先をかわすことなど造作もなく、すれ違い様にオークの左腹部を切り裂いた。オークはくすんだエンジ色のボロ切れ一枚を身に纏っているだけであり、何の抵抗をすることもなく、あっさりと薄い剣の刃の進入を許した。
 何人もの傭兵の体を貫いてきたオークは、槍が深々と人間の体内に食い込む時に発する小気味良い音とはやや異質の音に嫌悪感を覚えながら、その音のする方へ振り返った。
 幾度となく共に戦ってきた相棒は、空を見るように焦点の合わない視線をこちらに向け、その腹からはどす黒いはらわたを大量に足元に垂らしていた。
 ヤツがいない!歴戦のオークは相棒の最後に気を取られることはなかったが、肝心の目標を見つけることが出来なかった。
 どこだと辺りを見回そうとした瞬間、首の後ろに冷たい一筋の感触を感じた。それがオークの最後の記憶となった。
 オークの腹を切り裂いたプララはそのまま右へ時計回りに走り抜け、先頭のオークへと回り込んだ。それが事態を把握出来ずに振り返るオークの死角に入ることとなり、彼女の眼前に無防備なオーク首筋がさらけ出されていた。プララは何の躊躇もなく細くしなやかな指で剣をクルリと回して、その首に切っ先を通過させた。
 ゴツンとオークの頭が体から落下し、遅れて体がその場に崩れ落ちた。
 ひゅんと剣を振ってオークの血を払った。
 「ひゅ〜、お見事!」
 先ほどの傭兵の男が斧を肩に担ぎ、歩み寄ってきていた。
 「今、指だけで切ったよな?」
 男は剣を握った右手を指差しながら尋ねた。
 「呼吸やタイミング、切る場所を誤らなければ力は必要ないから」とプララは答えた。
 「ほ〜、力任せの俺にはそんな器用なマネは出来ね〜な」
 男は大げさに呆れたような表情を作って見せた。
 プララは倒したオークの横でしゃがむと、剣を自分の足に持たれ掛けさせ、腰のポーチから一枚の紙を取り出し、死体に軽く触れさせた。
 この紙には魔法が封じ込められており、こうやって死体に触れさせることでその死亡を記録することが出来る。倒した魔物の死体を全て持ち帰ることは不可能であり、傭兵局に記録した紙を見せることで報酬が支払われるシステムになっていた。
 「随分とくたびれた記録用紙だねぇ」
 記録用紙には様々な情報が記録されているため、通常は同じ物を使い続ける。そのため、使い古された用紙は傭兵としての経験が長いことを意味していた。
 それについて何も答えようとしないプララを見て、「それじゃ俺はもうちょっと奥へ行ってみるわ」と告げると、肩の斧を担ぎ直して歩いていった。
 振り返るとそこに首をなくしたコボルドの死体が四つ転がっていた。
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