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■プラぷら
【Event】
・オラザクに挑戦! New!
・第一回 看板娘
【Novel】
・第一話 第十二節 New!
・第一話 第十一節
・第一話 第十節
・第一話 第九節
・第一話 第八節
・第一話 第七節
・第一話 第六節
・第一話 第五節
・第一話 第四節
・第一話 第三節
・第一話 第二節
・第一話 第一節
【Other】

 

NAL Factory
■「剣を召しませ」
 ニコニコ動画のコミュニティ「プラぷら」のマスコットガールを主人公にした物語がここに始まる。

 細身の剣を携えた隻腕の少女、プララ。
 得体の知れない僧侶・ナグラスとの会話を早々に切り上げた彼女は、街の傭兵が集まる酒保へと足を向ける。
 閑散とした店の中、プララは主人の目の前のカウンター席に座った。
■第一話 第三節
 奇妙な男だとプララは思った。
 自分を僧侶だと告げ、確かに僧侶のローブも身につけていた。目立つ傷跡も見受けられなかったことからも、明らかに後衛であることは分かる。しかしそれでもプララには先ほど会った男の言葉をそのまま鵜呑みにする気にはなれなかった。傷がなさ過ぎるのだ。
 パーティを持っていると言っていた。それは近場のネズミやウサギ程度の瘴気の獣を相手しているのではなく、もっと瘴気の強い地域に生息する獣、あるいは魔物クラスを狩っていることを意味していた。パーティレベルでの狩りともなれば相手もそれなりに凶暴であり、知能もあり、また能力も高い。毒や高温の吐息を吐くモノや、魔物の中には広範囲に殺傷能力を発揮する魔法を使いこなすモノもいる。傭兵局の買い上げ金額は相手の凶暴さに比例して高く設定されており、またそういった凶暴な魔物ならば、逆に返り討ちにあった傭兵の遺品を持ち歩いている可能性もある。複数のメンバーで行動するパーティの場合、そういった高い見返りの期待出来る相手でなければ意味がない。
 元来が一攫千金を期待する山師的な連中からなる傭兵、セコイ相手をちまちま狩ろうという酔狂な者などほとんどいないのである。
 しかし、あの男には傷がなさ過ぎた。飛び道具の矢傷も、魔物の発する高熱の吐息による火傷も、魔法による外傷も見受けられなかった。せっせとパーティの人材を集めようとする程の者にしては、あまりに身体が綺麗過ぎるのだ。
 「それほど強いパーティなのか」
 プララは独り言を呟きながら、手近に見つけた比較的大きな酒保のドアを押し開いた。
 中はプララの予想に反し、客はまばらにガランとした状態だった。まだ昼食にも早いという時間ではあったが、こういった傭兵の集まる酒保に時間帯は関係ない。狩りに出かける時間帯もそれぞれなら、酒保に溜まる時間もそれぞれなのである。
 辺りを見回したプララは店内に歩を進め、カウンターに立つ主人らしき人物の真正面の席に腰を下ろした。
 「いらっしゃい、何にするね?」
 主人は特にプララに興味を持つでもなく、視線を向けることなく尋ねた。
 「ミルクを」
 カウンターの中で作業をしていた主人が手を止めることなく尋ねた。
 「これから外へ行くのかね?」
 プララはコクリと頷いた。
 「賢明だが、アルコールくらい僧侶に解毒で抜いて貰えばよかろう」
 「連れ合いはいない」
 初めて主人は、ピクリと反応してプララに目を向けた。
 「酔いを避けるような相手に、単独で行こうというのかね?」
 「そのつもり。良い狩場はある?」
 「お嬢ちゃん、ここは初めてのようだな。悪いことは言わんから連れ合いを探すか、近場でぼちぼちやるんだね」
 主人はそう言いながらカウンターにミルクを置いた。
 「人を見る目がある方じゃないし、小物じゃ剣が錆びるだけよ」
 ミルクをコクリと飲むプララを眺めながら主人はふんと鼻を鳴らした。
 「だったら、正門を出て真っ直ぐ南下しな。右手の小山近くに坑道跡がある。覚えのある単独者や駆け出しパーティに丁度良い狩場だ。バラエティに富んだ連中がやってるだろうから、面白かろう。しかし、あまり深く潜らない方が良いぞ」
 「深いの?」
 「あそこは六階層に分かれている。上層ならそうでもないが、最下層までとなると、ここらの連中でも単独で行ける奴はほとんどいないな。まぁ運次第だろうが」
 話を聞きながらミルクを飲むプララを眺めながら、主人が続けた。
 「ここらはな、瘴気の上がり方が極端なんだ。近場はどうということはないが、少し離れるだけで瘴気があっと言う間に濃くなっていきやがる。悪いことは言わん。今は人が少ないが、もう少ししたら人も集まるだろうから、連れ合いを見つけたらどうだ?見繕って紹介してやってもかまわんぞ」
 プララは空になったグラスをカウンターに置いた。
 「ありがとう、でもいい。」
 プララは席を立ち、「ミルク代、お釣りは情報料よ」とコインを一枚置いた。
 「慣れるまでは、コボルド程度にしておけよ」
 立ち去るプララに主人は声をかけた。

 主人に言われるまま、プララはグラナラードを取り囲む防壁に開けられた正門から外へ出て、真っ直ぐに南下するように歩いた。肥沃な土地らしく辺りは緑に恵まれ、正門前は広く切り開かれ整備されていた。瘴気に侵された獣がいるにも関わらずこれだけ拓かれていることに、グラナラードの意地と誇りが見て取れた。正面の緩やかな丘に一本の道が作られており、その両脇の草は綺麗に刈り込まれ、一見しただけでは瘴気に侵された土地であると信じられない程であった。
 しかし、確実に瘴気はそこに存在した。
 歩き始めて間なし、まだ門兵の姿も見える内にキキッという声と共にネズミが襲い掛かり、そこから数歩歩いただけで兎が歯を剥いた。普通ならこちらを見たら逃げていくような生き物でさえ、自我を失い、闘争本能に支配され、相手構わず襲い掛かってきた。瘴気に侵された生き物は自我を失うだけでなく、自身の身体を守る本能さえ失ってしまうのか、持てる能力を最大限に使ってくるため、例えネズミと言えども戦いを知らない者には脅威となる相手であったし、傭兵ですら迂闊な己の力を知らない駆け出しの者は命を落とすことがあった。
 むろんプララはそんな駆け出しでなければ、愚かでもない。襲い掛かるネズミや兎程度ならば剣を抜くことすらせず、ブーツの先で的確に急所を突き、一発で絶命に至らしめた。結局のところ坑道跡までの半刻の間、プララは一度として剣を抜くことはなく、最後に現れた狼が一度だけ膝を使わせた以外はすべてブーツの先の餌食となった。相手の急所を正確に打ち抜く彼女の攻撃は、獣が眠っているだけに見えてしまうほど、損傷を与えないものであった。
 酒保の主人が話す通り、右手の小山の麓に坑道跡を見つけることが出来た。
 入り口は思ったほど大きな物ではなかった。使われなくなってかなり時間が経過しているのだろう、辺りには何もなく、ただポッカリと山肌に漆黒の口を開いているだけである。入り口は石のブロックで補強するように固められており、風化によるひび割れは見て取れたが、大きく損傷している風はなかった。中を覗き込むと、しんと静まり返ったヒンヤリした空気が顔に触れた。
 「バラエティに富んだ連中がやってるって割には静かね……」
 プララは背中の剣を繋ぎ止めた首輪のベルト位置を右手で確かめ、静かに闇の中へと身を投じた。
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