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■プラぷら
【Event】
・オラザクに挑戦! New!
・第一回 看板娘
【Novel】
・第一話 第十二節 New!
・第一話 第十一節
・第一話 第十節
・第一話 第九節
・第一話 第八節
・第一話 第七節
・第一話 第六節
・第一話 第五節
・第一話 第四節
・第一話 第三節
・第一話 第二節
・第一話 第一節
【Other】

 

NAL Factory
■「剣を召しませ」
 ニコニコ動画のコミュニティ「プラぷら」のマスコットガールを主人公にした物語がここに始まる。

 死闘の末に強敵レスターから逃げ延びたプララ。
 しかしそれはダニーの犠牲という余りにも大き過ぎる代償を支払うこととなり、プララのプライドに大きな傷を刻み付けることになってしまった。
 街に戻った彼女は残された仕事、ダニーの死亡を傭兵管理官でありダニーの幼馴染でもあるウィンに伝えるため、傭兵管理局へ向かった。
 「剣を召しませ」第一話、ここに終決。
■第一話 第十二節
 「傭兵ダニーは坑道跡第四層にて死亡……。確かに了解した」
 傭兵局管理官ウィンは極めて事務的にそう言うと、机の引き出しからダニーの書類を出し、『死亡』の判を静かに押した。
 港町『グラナラード』の傭兵局受付事務所、ウィンの机の前にプララは立っていた。魔物討伐の報告と報酬の受け取り、そして傭兵ダニーの死亡を通知するために来ていた。
 「どうした?記録紙の処理は済んである。銀行へ行けば報酬は受け取れるぞ?」
 机の前に立ったまま動こうとしないプララを見上げ、ウィンは怪訝そうな顔で言った。
 「済まないと思っている……」
 「ん?」
 「坑道跡で一緒にいた時に聞いた。彼とは古い馴染みだったと……」
 ウィンはプララの顔を見つめていた。
 「私がヘマをしなければ……、いや!私を逃がそうと考えなければ彼は死なずに済んだかもしれない!」
 「ヤツがそう言ったのか?」
 ウィンはプララの言葉を遮るように静かに言った。
 「幼馴染だよ……」
 ウィンはダニーの書類を別のファイルに挟み込みながら言葉を続けた。死亡者のファイルだった。
 「俺たちは小さな漁村の生まれでな。俺とあいつと、もう一人村に残っている錬金術師の女の三人は小さな頃からそこで育ったんだ。あいつは元々漁師でな、俺は教師だった。三人で調査を始める前までは……、いや、それはどうでもいい」
 ポンっとウィンは死亡者ファイルを閉じた。
 「あいつは自分で傭兵になったんだ。幼馴染の俺に傭兵認定の判を押させてな……。それを何の酔狂か知らないが、坑道跡に潜り込んでは新米傭兵の世話ばかりしている。死にかけたことだって何度もあった。それでも傷が癒えればすぐまた坑道跡だ」
 プララは唇を噛んだ。
 ウィンはプララを暫く眺めた後、手にした死亡者ファイルを掲げて言った。
 「このファイル、ここに何冊あるか知ってるか?」
 突然話が変わり、どういう意味なのかよく分からないまま、首を横に振った。
 「俺も知らない」
 ウィンはクスリと笑った。
 「傭兵なんて生き残る方が珍しいんだ。あいつはそれを知った上で傭兵になったんだし、俺もそれを承知の上であいつを送り出したんだ」
 余計なことに口を挟んだのだと悟った。
 ウィンは手の甲をプララに見せ、去れと合図した。黙ってそれに従い、事務室の扉へと歩いた。
 「なぁ、アンタ」
 扉に手をかけた時不意に呼び止められ、プララは立ち止まり肩越しにウィンを見た。
 「あいつを殺ったのはレスターだっていったよな?」
 プララは黙って頷いた。
 指先でコツコツと机を叩きながら暫く考えた後、彼は言った。
 「野郎を真っ二つに引き裂いてきてくれよ」
 プララは静かに、そして深く一つ頷いた。
 事務室を出て、後ろ手に静かに扉を閉めた。
 直後、バンッと強く引き出しを締める音が事務室から聞こえた。



 傭兵局を出た後、プララはその足で真っ直ぐに酒保に向かった。坑道跡の話を聞いた酒保である。何か根拠があった訳ではないが、あそこへ行けば連絡がつく、そんな確信めいた物があった。
 既に日が落ちて結構な時間が経っていたこともあり、酒保は昼間とはうって変わり結構な賑わいであった。昼間と同じくカウンターへ向かうと、主人の斜め前の空いた席に腰を置いた。
 ちらりとプララに目を向けた後、「ミルクかね?」と主人が声をかけた。暫く間をおいて小さく頷くと「人を探してるんだけど」と視線を送った。
 「人?」
 「ナグラスって男」
 主人の手が止まった。
 「あいつに何か用なのかい?」
 「色々と。聞きたい話もあるし、ね」
 ふむと息を一つ溢した後、主人はくいっとプララの後ろへアゴを上げて見せた。
 振り向くと店の出入り口のすぐ脇にあるテーブル席に座ったナグラスが、ニコニコしながらプララに向かって指をひらひらさせていた。彼の陣取ったテーブル席には、他に男と女が一人ずつ座っていた。
 大きなため息をついた後、主人に「ミルクはキャンセル、ラム酒を四つ持って来て」と告げると席を立ち、ナグラスのテーブルへと歩いて行った。
 「やぁどうも。わざわざお越し頂かなくても、御用とあればいつでも馳せ参じましたのに」
 丁寧とも嫌味ともつかないナグラスの言葉に耳を貸さず、手近な椅子を引くと腰を下ろした。
 「ダニーって男、知ってる?」
 「ダニー?ダニーってあの『斬首の斧』のダニーですか?」
 「へぇ、そういう異名があるんだ」
 「有名ですよ。腕は良いし、面倒見の良い男でねぇ。坑道跡に篭っては新米傭兵の世話を焼いている男です。何度かパーティに誘ったこともあるんですけどね、『俺はここで遊んでいる』といつも断られてました」
 プララの胸がキリリと痛んだ。
 「何かありました?」
 目ざとい男だ、とプララは思った。
 「死んだ」
 ナグラスの表情から笑みが消えた。それも一瞬のことですぐにいつもの笑顔に戻りはしたが。
 「ご冗談でしょう……って、そういう冗談を言える方でもないですね、貴方は」
 テーブルの上で手を組みアゴを乗せると「お話をお伺いしましょう」と続けた。

 「ふむ、第四層の大広間にレスターがねぇ」
 プララの注文したラム酒を手にしながらナグラスが呟いた。
 彼女が昼間の坑道跡の一件を説明している間、ナグラスは静かに、そしてレスターとの戦闘に話が及ぶと事細かに質問を投げかけながら聞いていた。話の途中、プララの左に座っていた男はしきりに「あのダニーが死んだ?信じられない」を繰り返し、右に座っていた女は興味なさそうにラム酒を煽り続けていた。男はガッシリした体系であまり背は高くなく、両手剣を椅子の背にかけており、見るからに戦士系傭兵であると分かった。女の方はプララより歳若く、どう見ても自分より更に三歳は若いまだ子供のようだった。頭からすっぽりと黒いローブを羽織ってはいたが、背が低く華奢な身体であることは見てとれた。きっと魔法使いであろうとプララは考えていた。
 「で、私に何をお聞きになりたいので?」
 ナグラスがいつもと変わりない笑顔のまま、問いかけてきた。
 「あいつの弱点」
 「弱点?レスターの?」
 プララはナグラスを睨みつけるように見据えた。
 「貴方、レスターと戦われたのでしょう?貴方の方が経験もおありでしょう」
 大袈裟に驚いたような表情をナグラスが作った。
 「逃げ帰ってきただけよ」
 イライラして言い放った。
 ナグラスは大きく両手を広げ、掌を見せた。
 「冗談ですよ、そんなに怒らないで下さい」
 プララは横へ視線を背けた。
 「レスターはアンデット系です。そしてアンデッドのクセにスピードがやたらあるんですよね。使う魔法は私が知る限りでも、火炎や雷など低級魔法は当然のことながら、爆炎とか激震など中級まで使いこなします。上半身なら物理攻撃も効きますが、アンデット系ですから首をハネ飛ばすくらいでないと意味がありません。足を切断して行動不能にしたくても、下半身がガチガチなのはご存知の通りです。厄介なのは例の皮ベルトの触手ですが、これは三方同時に攻撃してくるんですよ、器用なことにね」
 ナグラスはスラスラとレスターについての解説を述べた。ソッポを向いていたプララだったが、いつの間にか身を乗り出すように彼の話に耳を傾けていた。
 「実際のところ、レスターを葬ったことのあるパーティ自体、それ程多くはありません。このグラナラードでも二桁は行かないでしょう。それも大半は何とか勝てたとか、偶然勝てたみたいなものばかりでして、確実に仕留められるパーティとなると、恐らく……二つだけ」
 ナグラスはここで話を区切り、「ラム酒、もう一杯頂けますか?」と聞いた。
 プララはカウンターにいる主人に振り向くと、指を四本立てて見せた。すぐさまナグラスに向き直る。
 「一つはサンカって男が引き連れているパーティです。残念ながら今はここにはいません。ここからずっと南東に行った所に大きな砦がありましてね。魔物の巣窟になってますから砦跡と言った方が良いのかもしれませんが、当分はそこに入り浸っているでしょうね」
 「もう一つは?」
 「もう一つは、次のラム酒を待っているところです」
 ラグナスがニッコリと笑った。
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 挿絵は主人公プララをデザインされたぷるぷるさんによる物です。
 こちらのコミュニティにて、お絵かきの模様を生放送されています。

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